和幸株式会社トップページ対談 > フードプロデューサー松本和彦
松本 :

私が思うに他のチェーン店に比べ圧倒的に美味しいと思うところが3つあります。


1つはソース、味のバランスが抜群でしかもドロッとしたとろみも理想的です。
2つめはパン粉の美味しさ、油っぽくなくまるで上等なトーストを食べている感じです。
3つめは「厚切りロースとんかつ」の肉質というか肉の味がめちゃくちゃ美味しい、

店舗のおしゃれさでは他チェーン店にやや劣るのではないかと思いますが
その3点はダントツですね。


うかがえる範囲でその秘訣を教えていただけませんか?

稲葉 :

そうですか、ありがとうございます。
何年にもわたって何百店ものとんかつ店を食べ歩いていらっしゃる先生に言われると嬉しいですね。
ちょっとだけ、その秘密をお教えしましょう。


松本 :
それはすごい、さっそくお聞かせください。

稲葉 :

まずソースですが、これぞとんかつの最高のソースと自画自賛のものです。長年当社の伝統の味として、手間隙かけて野菜・果物から作っています。

そして、更に店舗で最終味付けをしているところです。
ここでも手間を惜しむことなく仕込みのたびに にんにくを刻み、ゴマを擂って、レモンを絞って、お店でしか出せない味に仕上げています。

これ以上は、企業秘密なのでいえませんが・・・


松本 :

へぇ〜そうなんですか?だから、他が真似できない味なんですね。


稲葉 :

次ぎにパン粉ですが、これは糖分を抑えたたものを 一斤一斤 特注で焼いてもらっています。油っぽくないのは油の質だけではなくパンの焼き方も大切です。
独自の製法で生地を満遍なく発酵させること、じっくり焼き上げて、剣立ちを良くし、繊維を細かく・長く伸ばすことで、独特のサクサク感が生まれ、肉の食感・味を引き立ててくれるのです。
こうすることで、油の切れも良くなり、トータルでのとんかつとしての愛称が良くなるんです。
当然、粉の配合は、お肉、揚げ油と風味がマッチするよう、オリジナルです。



松本 :

またまたマル秘ものの情報ですね、
普通油っぽいかどうかは使用する油で決まると思われがちですがパン粉とのバランスとは、恐れ入りました。


稲葉 :

パン粉は重要なファクターで、もう一つあまり知られていない美味しく揚げるコツをお教えしましょう。
それは生パン粉の水分についてです。
生パン粉の方が水分を含んでいるので逆にカラッと揚がるのですが、
この適度な水分を維持するために常にパン粉をチェックし、
適度な湿り気を持たすようにしています。
たとえば濡れタオルをかぶせたり、霧を吹きかけたり。
それは各職人の目と勘で判断させています。


松本 :

それはいなば和幸さんには職人さんがいるからできることですよね、他店は
パートのおばちゃんなんかに任せている。

稲葉 :

弊社は郊外型の1店舗を除きすべて2層のフライヤーで揚げています。微妙に2つの油相の温度を変えて、よりサックリ揚がるよう、手間をかけています。
揚がったかどうかは 職人が音と見た目で判断します。



松本 :

それは大変な技術が必要ですね、一枚一枚真剣勝負だから美味しいのですね、いわゆる「気」が入ったとんかつですね。


稲葉 :

それに弊社では肉のカットはすべて原木と言われる肉の塊りから、自分達が肉質を見ながら、余分な筋を取り除いて、一枚づつ切り身にして行きます。豚も生き物ですから、一頭一頭、肉質が異なりますし、場所によっても肉の繊維の流れは、変わってくるのです。それから、お肉は熟成することで美味しくなります。やっぱり、原木で熟成する事が、お肉をより美味しくする大切なことなんです。

松本 :

ほとんどのチェーン店が機械でカットされた肉を使うのに対して、いなば和幸さんは店舗で職人さんが手切りですか?

まさに「職人ワザ」ですね。

稲葉 :
だから今日食べていただいた「厚切りロースとんかつ」もメニューに載せることができるのです。美味しさは、肉の厚さ でもあります。原木の状態から、肉の状態を見て切り出していきます。素材を見極めて自分達が仕込むから、厚さの美味しさをご提供できるんです。店舗でカットしない店はなかなかできませんから。

松本 :

そうでしたか、恐れ入りました。
では肉の話題になったところで、肝心のなぜ豚肉が美味しいのかに付いてお聞きしたいのですが?

稲葉 :

弊社のお肉は、スタンダードなものはアメリカ産です。ただし、アメリカ産でも品種、餌、育て方、安全性にこだわったものを輸入しています。
先ほどもお話しましたが、豚は、一頭一頭成長の度合いが違います。健康に育てられた豚だからこそ、美味しさを兼ね備えています。病気にかかりにくい環境で豚をたくさん育てるとなると、莫大な面積の農場が必要となります。豚は人間に近い動物ですから、ちょっとしたことでカゼを引いたり、肺炎にかかったりします。いずれにしても日本では、中々難しいのが実状です。広大なスケールで豚を育てる環境が、美味しい豚作りには本当は必要なんです。
また、いい豚肉は、たくさんの豚の中から選ぶ事が大切です。それには、やはり より多くの健康な豚を育てられるノウハウと環境が必要なのです。厳しい安全基準をもともと持っているアメリカは、我々にとって美味しい豚肉を生産するベースを持っていることになります。したがって、ここで品種、餌、育て方を我々の求める肥育方法を実践すれば、良いのです。


松本 :

なるほど。国産の品種、育て方を元に広大なアメリカで同じように育てれば、美味しくなる訳ってことですね。
経営ですから、あわせてコストの問題も考えていく必要があるんですね。

稲葉 :

国産の上等なサシの入った豚を使うと提供価格も高くなります、「厚切
りロースとんかつ」で1380円という価格はかなりムリしたお値打ち価格にしています。
とんかつ好きはこれが一番の基準になりますから。


松本 :

とんかつは単純だけど奥が深い食べ物ですね、
以前から気になっていた3つの美味しさの謎が解けました。
また、理解して改めて好きになりまた食べてみたくなりました、
先ほど勉強した知識を再確認するために。


今日はどうもありがとうございした。